2016年9月23日

【おすすめの本】びくびくビリー/Billy, o aflito/ Ramón preocupón

グアテマラ / Guatemala

アンソニー・ブラウン作 / Anthony Browne (Autor)
灰島かり訳 / Kari Haijima (Trad.)
評論社/ Hyoronsha
2006(2006)

くらし・文化/ vida e cultura / vida y cultura
絵本 / livro ilustrado / álbum ilustrado
幼児から/ a partir de 4 anos de idade / a partir de 4 años

ビリーはとっても心配屋。いろんなことが気になって、眠れません。おばあちゃんに話したら、「心配ひきうけ人形」をくれました。人形に心配事を打ち明けて枕の下に入れると、ぐっすり眠れるというのです。ところがビリーは、今度は人形たちのことが心配になって……。この人形は木切れにくず布と糸を巻きつけて作ったもので、大きさはマッチ1本ほど。グアテマラの民芸品として広く知られています。国際アンデルセン賞画家賞作家によるユーモラスな絵と、マルチ・カラーのグアテマラの人形が楽しい絵本です。

Billy está sempre aflito. Fica preocupado com várias coisas e não consegue dormir. Quando consultou sua avó sobre o problema, ela lhe deu os "bonecos tira-aflições". Dizem que quando confessa a eles suas preocupações e em seguida os colocam debaixo do travesseiro, a pessoa dorme bem. Mesmo assim, Billy acabou ficando preocupado com os bonecos e... 
O boneco, feito de um pedaço de madeira enrolado com um pano e linha, é do tamanho de um palito de fósforo. O boneco é amplamente conhecido como artesanato guatemalense. O livro ilustrado é muito divertido com as imagens multicoloridas dos bonecos guatemaltecos e com os desenhos humorísticos do desenhista, que recebeu o prêmio internacional Hans Christian Andersen.

Ramón es un preocupón. Se preocupa tanto que no puede dormir. Cuando se lo contó a su abuela, ella le regaló los “muñecos quitapesares”. –Si les confías tus preocupaciones y lo pones bajo la almohada, podrás dormir tranquilamente–, le dijo. Pero Ramón empieza a preocuparse hasta por los muñecos. Este muñeco, de tamaño de un fósforo, se hace enrollando una astilla pequeña con un pedazo de trapo e hilo. Es ampliamente conocido como una artesanía guatemalteca. Es un libro infantil muy divertido con ilustraciones humorísticas y de muñecos multicolores, y el autor ha sido galardonado con el premio Andersen de ilustración.


2016年9月5日

日本ラテンアメリカ子どもと本の会(CLIJAL)の活動から〜日本ブラジル外交関係樹立120周年〜

日本ラテンアメリカ子どもと本の会(CLIJAL)の活動から
日本ブラジル外交関係樹立120周年     
小高 利根子
 2015年は日本とブラジルの外交関係樹立120周年の記念の年で、年間を通じて様々な記念行事が行われました。首都ブラジリア建設で有名な建築家オスカー・ニーマイヤー展は東京現代美術館で7月から10月まで長期的に開催されましたし、ネルソン・ロドリゲスの演劇「禁断の裸体」上演、各種展示会、講演会、コンサート、映画上映、テレビ番組などが目白押しでした。

私たち「日本ラテンアメリカ子どもと本の会」に直接関係があることとしては、2014年に子どもの本の分野で最も歴史のある大きな賞・国際アンデルセン画家賞を受賞したホジェル・メロ展とブラジル児童文学の金字塔『ぼくのオレンジの木』の日本語版出版の二つが挙げられます。

 ホジェル・メロ(Roger Mello)展は4月から5月にかけて福岡県立美術館で、また8月から10月までは東京のちひろ美術館で開催されました。メロは1965年生れの画家。百冊以上の絵本を手がけましたが、そのうち20冊はテキストも自ら書いています。今回の展示では代表作14作の原画100点とその場面の日本語訳、資料、ブラジルのお祭りなどにまつわる品、飾り物などが展示されました。14の絵本は内容別に大きく3つに分かれています。ひとつはブラジルの歴史や伝説、伝統文化に関する本、もうひとつは社会問題を扱ったもの。そして最後に世界を旅した経験に基づく作品。このうち二番目のブラジルの社会問題を直接扱っている本は私も発売と同時に入手していて、なかでも一番気に入っているのは『マングローブの子どもたち』。貧しい中でも生き生きとした子どもたちの生活がコラージュを交えた美しい挿画と共に描かれています。すでに翻訳もできているのですが、なかなか出版社を見つけられずにいます。もうひとつ『炭焼き少年たち』というのは児童労働を扱った作品で、山火事の炎が飛び出してきたり、特殊な塗料を使ったり…ととても意欲的なもの。内容的には子ども向けの絵本というよりは大人向けだろうと思います。

 『ぼくのオレンジの木』(原題:O Meu Pé de Laranja Lima,1968)はジョゼ・マウロ・デ・ヴァスコンセーロス作、永田翼・松本乃里子共訳でポプラ社から出版されました。11月にブラジル大使館で開かれた出版記念会の席上、文化担当官のペドロ・ブランカンチ・マシャード氏は「ブラジル人なら誰でも知っていると言ってよい話。ほとんどの学校が課題図書に選んでいて、ぼくも昔、読みました」とコメントしています。私にとっても思い出深い本で、ポルトガル語を勉強し始めて、原書を初めて通読して深い感銘を受けたのが本書でした。主人公は5歳の感受性豊かな男の子ゼゼー。父親が失業してからは貧しさのため靴磨きで少しでもお金を稼がなくてはなりません。わんぱくで大変ないたずらをやらかしてしまうゼゼーは家族から殴られてばかり…。貧しさが高じれば人々の心はすさみ、子どもたちは子どもでいることが許されず、単なる働き手としか見られなくなります。


 子どもの貧困が大問題となっている今の日本では、この物語がひとごとではなくなってきました。地球の反対側の国の話としてではなく、自分たちの問題として、ぜひ大人の方たちに読んでいただきたい物語です。