投稿

1月, 2013の投稿を表示しています

『そんりさ』にご掲載いただきました(その2)

イメージ
RECOM(日本ラテンアメリカ協力ネットワーク)の会報誌『そんりさ』に連載中の記事の内容を、許可を得て転載させていただきます。 CLIJALの活動から  〜図書展をもりあげたパペルピカド〜 -  前号のニュースレターで、日本ラテンアメリカ子どもと本の会(CLIJAL)について、結成の経緯やこれまでの歩みをご紹介しました。昨年 (2011年) 12月に鶴見で開催した図書展「開いてよう!見てみよう!子どもの本でラテンアメリカめぐり展」は、私たちにとってはじめての大きなイベントでしたが、今回は、その会場をいろどり、脇役として図書展をもりあげたパペルピカドpapel picadoについて、すこしお話したいと思います。   絵本の中のパペルピカド  メキシコの切り紙パペルピカドは、お祭りやパーティで飾られたり、土産品として売られていますから、メキシコを訪れた人なら色とりどりの万国旗のようなそれを、かならず目にするのではないでしょうか。じつは絵本の中にもパペルピカドを見つけることができます。図書展で展示した『ポインセチアはまほうの花』と『クリスマスまであと九日』の二冊はメキシコを舞台にした絵本で、前者の挿画には印象的に、後者ではさりげなく、パペルピカドが描きこまれています。  まずはストーリーをご紹介しましょう。『ポインセチアはまほうの花』の主人公の女の子は、クリスマスイブを悲しい気持ちで迎えようとしています。父親が仕事をなくし、その年はイエスさまへのおくりものを用意することができないのです。教会にやってきた彼女に石像の天使がささやきます、傍らにある草の葉をもっていきなさい、と。緑の葉をかかえた彼女が祭壇へ近づくと、それはいつのまにか燃えるような赤い花束となり、少女は喜びにあふれてこのおくりものをささげました。真心の尊さを伝える奇跡の物語です。幼少期にたびたびメキシコを訪れた米国人の作者がこの言い伝えに出会い、アルゼンチン人のイラストレーターと美しい絵本に仕上げました。 一方、『クリスマスまであと九日』は、幼い少女セシが、やってくるポサダ(クリスマス前九日間の伝統行事。マリアとヨセフの宿屋(ポサダ)さがしに見立てた行列とパーティを行う)に心躍らせるさまをたんねんに追ったもので、作者はやはり米国人です。ポサダで使うピニャタ(お菓子を入れたくす玉人形)を並べ売る...

【おすすめの本】夢の彼方への旅/Viaje al mar del río/Viaje al mar del río

イメージ
ブラジル / Brasil エヴァ・イボットソン著 /  Eva Ibbotson (texto) 三辺律子訳 /  Ritsuko Sanbe (trad) 偕成社  / Kaisei-sha 2008 くらし・文化 / vida e cultura / vida y cultura 小学校高学年から / a partir de 10 anos de idade / a partir de 10 años 両親をなくしたイギリスの少女マイアは、ブラジルの親戚にひきとられることになり、家庭教師のミントン先生と船でアマゾンの町マナウスへ向かいます。アマゾン奥地のゆたかな自然につつまれた世界に心おどらせるマイアの前にあらわれたインディオの少年は、じつは行方不明になったイギリスの博物学者のむすこでした……。今から百年ほど前の、ゴム栽培でさかえるマナウスを舞台にしたどきどきする冒険ものがたりは、どうじにマイアやミントン先生の行動をつうじて、文明とともに失われるものや人間のあるべき姿についても考えさせます。 Uma menina da Inglaterra chamada Maia perdeu os pais e ficará sob os cuidados de parentes no Brasil. Ela embarcou com a tutora Minton para Manaus, capital do Amazonas. Vivendo na floresta, ela apreciava a riqueza da natureza. Um dia, um menino índio surgiu na frente de Maia. Na verdade, esse menino era o filho desaparecido de um naturalista inglês... Esta história de aventura muito empolgante se passa na cidade de Manaus que começou a prosperar 100 anos atrás, através da plantação de seringue...

【おすすめの本】この道のむこうに / O Circuito / El circuito

イメージ
メキシコ / México フランシスコ・ヒメネス作 / Francisco Jiménez (autor) 千葉茂樹訳 / Shigeki Chiba (trad) 小峰書店 / Komine Shoten 2003(1997) 移住・移民 / imigração / inmigración 物語 / narrativa / narrativa  中学生から / a partir de 12 anos de idade / a partir de 2 años メキシコのグアダラハラでくらすパンチートの一家は、よりよい生活をゆめみて、「ラ・フロンテーラ(国境)」をこえ、アメリカ合衆国に入りました。ところが、待っていたのは、イチゴや綿花つみの仕事を求めて転々と移動する不安定な生活でした。パンチートは、なれない土地でことばもうまく話せませんが、がんばって新しいことをおぼえ、前に進もうとします。貧しさの中、信仰心をもってささえあう家族のすがたも心に残ります。1940年代の物語ですが、今も不法移民として他国にわたる多くの人びとのすがたと重なります。 Sonhando com uma vida melhor, a família de Panchito, que morava em Guadalajara, no México, atravessou a fronteira e se mudou para os Estados Unidos da América. Mas o que os esperava, era uma vida instável de mudanças de um lugar para outro à procura de emprego, ora na colheita de morangos ora na de algodão. Panchito ainda não estava acostumado com a nova terra e ainda não falava a língua muito bem, mas se esforçava para aprender coisas novas e melhorar a...