『そんりさ』にご掲載いただきました(その2)
RECOM(日本ラテンアメリカ協力ネットワーク)の会報誌『そんりさ』に連載中の記事の内容を、許可を得て転載させていただきます。 CLIJALの活動から 〜図書展をもりあげたパペルピカド〜 - 前号のニュースレターで、日本ラテンアメリカ子どもと本の会(CLIJAL)について、結成の経緯やこれまでの歩みをご紹介しました。昨年 (2011年) 12月に鶴見で開催した図書展「開いてよう!見てみよう!子どもの本でラテンアメリカめぐり展」は、私たちにとってはじめての大きなイベントでしたが、今回は、その会場をいろどり、脇役として図書展をもりあげたパペルピカドpapel picadoについて、すこしお話したいと思います。 絵本の中のパペルピカド メキシコの切り紙パペルピカドは、お祭りやパーティで飾られたり、土産品として売られていますから、メキシコを訪れた人なら色とりどりの万国旗のようなそれを、かならず目にするのではないでしょうか。じつは絵本の中にもパペルピカドを見つけることができます。図書展で展示した『ポインセチアはまほうの花』と『クリスマスまであと九日』の二冊はメキシコを舞台にした絵本で、前者の挿画には印象的に、後者ではさりげなく、パペルピカドが描きこまれています。 まずはストーリーをご紹介しましょう。『ポインセチアはまほうの花』の主人公の女の子は、クリスマスイブを悲しい気持ちで迎えようとしています。父親が仕事をなくし、その年はイエスさまへのおくりものを用意することができないのです。教会にやってきた彼女に石像の天使がささやきます、傍らにある草の葉をもっていきなさい、と。緑の葉をかかえた彼女が祭壇へ近づくと、それはいつのまにか燃えるような赤い花束となり、少女は喜びにあふれてこのおくりものをささげました。真心の尊さを伝える奇跡の物語です。幼少期にたびたびメキシコを訪れた米国人の作者がこの言い伝えに出会い、アルゼンチン人のイラストレーターと美しい絵本に仕上げました。 一方、『クリスマスまであと九日』は、幼い少女セシが、やってくるポサダ(クリスマス前九日間の伝統行事。マリアとヨセフの宿屋(ポサダ)さがしに見立てた行列とパーティを行う)に心躍らせるさまをたんねんに追ったもので、作者はやはり米国人です。ポサダで使うピニャタ(お菓子を入れたくす玉人形)を並べ売る...